東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1018号 決定
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〔決定理由〕三、そこで附随処分の要否について検討する。
前記のとおり、本件増改築を不相当とする特有の事情は認められないが、本件建物は、昭和一七年に建築されたもので、現在はまだ朽廃の徴候は認められないものの、残存期間の満了を迎える頃(編注、昭和六〇年七月末日)には朽廃するかまたは朽廃が極めて近くなることが予想される。そして本件増改築は現存する本件建物を利用して増築するものではあるけれども、増改築後の建物は現存建物に比し相当耐用年数が延長し、朽廃による借地権消滅の時期もそれに応じて延びるものと認められる。したがつて、相手方が、借地契約終了をまつて、自ら使用、または新たに他に賃貸することによつて得べかりし利益を逸することになる。もつとも、その利得の時期は可成り遠い将来のことであつて、これを確定的なものとして算定することは困難である。また、本件増改築の建物は、一階は居宅であるが、二階は集会所であつて、特殊の用途に供されるものであり、相手方が、借地法第四条第二項、第九条ノ二第三項等の規定により、右建物の買取りを迫られた場合には、自己の必要以上の出捐を余儀なくされる点でも不利益を受けるといえよう。しかしこれについても、基準となる算定方法はない。そこで、現在では一応適正な賃料が支払われているが、これまで権利金等の授受は全くないことなどを考慮し、本件土地の更地価格の約二パーセントに当る金員を財産上の給付として、申立人から相手方に支払わせるのを相当と考える。そこで、更地価格については鑑定委員会の意見を採用し、3.3平方米当り金一五万円とし、本件土地全地の更地価格金七九五万円の約二パーセントに当る金一六万円を右給付額と定める。(福嶋登)
別紙
(一) 土地
東京都目黒区駒場町七七一番地
宅地 436.59平方米(132.07坪)
のうち163.63平方米(49.5坪)
現況 175.21平方米(五三坪)
(二) 建物(未登記)
木造瓦葺平家建居宅
床面積 59.76平方米(一八坪)
(三) 増改築の内容
右(二)の建物を床面積79.33平方米(二四坪)に増築しそれに床面積80.33平方米(24.30坪)の二階を増築し、木造、鋼板葺二階建居宅、集会所を建築すること。